イノベーションストーリー

Innovation Story

海外研修について① – アメリカ編 –

Kanzaki Specialty Papers Inc.

イノベーション推進本部では、国際的に活躍する研究開発人材の育成を目指し
王子イメージングメディア株式会社の協力のもと、海外拠点への出向制度を実施しています。
研修生たちは、ドイツ、アメリカ、ブラジル、タイなど、幅広い地域で貴重な経験を積んでいます。
今回は、アメリカで活躍するY.Tさんに、現地での業務や生活、そして得た経験についてお話を伺いました。

Y.T

Y.T

出向先/アメリカ
Kanzaki Specialty Papers Inc. (以下KSP)
イノベーション推進本部海外研修生

日本では紙・パルプから木質バイオマスと幅広い研究開発に従事

イノベーション推進本部での経歴について

大学・大学院時代 生物機能システム科学専攻
2017年入社 パッケージ推進センターで伸張紙や液体紙容器、パルプモールド等の製品開発に携わり、
       王子の根幹技術である紙・パルプについて学ぶ。
2021年11月 戦略企画部インキュベーション推進室 (現在のバイオケミカル推進センター) へ異動。
       木質由来ポリ乳酸合成に携わる。
2023年11月 海外研修生としてアメリカKSPへ出向。

グローバル企業の一員として国際的な技術を磨きたい

海外研修制度に応募した経緯を教えてください。

Y.T Y.T
私が王子HDに入社した2017年、グループの海外売上高比率は30%を越え、自分はグローバル企業に入社したんだと実感しました。王子がその先の目標に50%という数字を掲げ、グローバル企業として歩みを進めている中で、この会社の一員として社会に“イノベーション”を起こすためには英語を含め、国際的な経験やスキルを磨いていかなければならないと日々感じていました。今回の海外研修制度は私にとって稲妻の輝きとも言える、またと無い学びと成長の機会と思い、応募いたしました

合衆国ならではの規制対応やユニークな知的財産管理

現在の業務内容と、そのやりがいについてお聞かせください。

Y.T Y.T
KSPでは開発部の一員として業務に励んでいます。
最近アメリカでは感熱紙に使用されるビスフェノール系化合物に対し規制が始まったため、非ビスフェノール系への切替えを実施しながら、コストダウンに取り組んでいます。
アメリカは州ごとに独立した州憲法や州法があり、それぞれの動向を確認しなければならない点は大変ですが、アメリカでの開発の面白さでもあります。
また開発業務を通してアメリカでの知的財産の取り扱いも学んでいるのですが、アメリカ特許法は日本と異なる点が多く、とてもユニークに感じます。先発明主義だった頃の名残が多くあり、それを見つけるのが楽しいです。

フラットな上下関係と効率重視のコミュニケーションスタイル

海外で働いて、日本の働き方とはどのような違いを感じましたか?

Y.T Y.T
上下関係は基本的にフラットで、KSPは上司であっても下の名前で呼んでいます。
会話は冗談も多いですし、仕事の話をするときも対等な立場で意見を交換するように感じています。
またメールがチャットのように短く、シンプルかつ明確です。仕事の進捗を聞くのに、「急かすようで申し訳ございませんが・・・」のような枕詞は必要なく、“Do you have any updates on this?”と一文だけ送られて来ます。読む手間をかけさせないのがアメリカ式の思いやりであり、かつビジネスの連絡はスピードが重視されるのかなと推測しています。

スケールの違いとフレンドリーな人々の魅力

海外で暮らして、日本の暮らしとはどのような違いがありましたか?

Y.T Y.T
アメリカと日本、たくさん異なることがあるのですが、最も気になるのは使用している単位系です。特に車を運転しているときは、速度制限はマイル、エアコンの温度は華氏、ガソリンはガロン、と日本では見慣れない単位ばかりになるため、アメリカにいることを実感します。
アメリカの紙の標準的なサイズがA4サイズではなくレターサイズなのも面白いです。
人柄の面ではフレンドリーで社交的な印象を持っています。知らない人同士であっても「その靴どこで買ったの?いいね」と気さくに話しかけたりするのをよく見ます。

環境に対するサステナブルな技術投資と相反する現実的なエコ意識

「環境への配慮やエコ意識」の違いを感じることがありますか?

Y.T Y.T
簡単にまとめるにはまだアメリカについて勉強が足りないのですが、資本主義の中心ですのでサステイナブル関連技術・企業への投資が進んでいます。
一方で、私が住んでいるマサチューセッツ州ではそれほど高いエコ意識を日常生活の中で感じることはありません。2025年2月には連邦政府施設で紙ストローを廃止する大統領令に署名がされましたし、「エコでも不便なら使わない・コストアップなら使わない」という雰囲気があります。
便利だったりCoolだったり、政府の補助金が出たり、そういう事情があればテスラの電気自動車のように普及していく側面もあります。このあたりにアメリカの実利主義の文化を垣間見できる気がしています。

休日は自然とドライブでのリフレッシュ!

海外生活で、休日はどのように過ごしていますか?

Y.T Y.T
夏はハイキングに出かけ、冬は美術館や博物館に行ったり、土日は外に出かけることが多いです。
この研修のために自動車運転免許を取得したのですが、赴任当初は車を運転するのが怖くてたまりませんでした。が、ニューイングランドの自然が美しくそして広大で、今ではこの景色を見ながらドライブするのがリフレッシュ方法になっています。家から車で1時間くらいで行けるMt. MonadnockとMt. Greylockはアメリカ人の同僚に教えてもらったのですが、低山ながら景色が良くお気に入りの山です。

(左上)近場のMt. Monadnockでトレイル(右上)マサチューセッツ州名物のひとつ、ロブスターを使った料理
(左下)寒い日は美術館なども楽しめます(右下)Fenway Parkでレッドソックス戦

今まで触れたことのない分野の技術の学びと未来への自信

最後に、海外での経験を今後どう活かしたいか教えてください。

Y.T Y.T
今回の海外研修では、慣れ親しんだ日本文化から離れ、そして感熱紙という今まで触れてこなかった分野で技術面・操業面を一から勉強させて頂きました。
たくさんの方にお世話になっていますが、経験のない分野でもなんとか頑張って来れたという経験は、今後、私が新しいことに挑戦するときに自信をくれると思います。
新しい知識や技術、環境を恐れることなく、日々学び、より良い社会の実現のため製品開発に取り組んで行きたいです。


KPP:Kanzaki Specialty Papers Inc.


王子イメージングメディア株式会社の海外拠点【アメリカ】



Kanzaki Specialty Papers(KSP)はハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などの有名な教育機関のほか、
ベースボール、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケーの4大プロスポーツが揃っている
マサチューセッツ州に所在。
主に感熱記録紙、フィルム感熱紙、インクジェット用紙を製造・販売しています。

KPP:https://www.kanzakiusa.com/
王子イメージングメディア株式会社:https://www.ojiimagingmedia.co.jp/


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